ながいながい坂道で。
皓皓。
皓皓。
皓皓。
月光。
この月さえ。
在れば、私は幸せだと、
この月さえ。
白い面、の裏に蠢く色彩の膜。
たなびく筋雲。 天空の輝き。
映りこんで、目が眩む。
いつか、一生に一度最高に幸せなときを迎えられたらそれで総て良い、と。
坂道を登りながら。
粘っこいな感情を垂れ流しながら。
瞳を閉じながら。
乾いた、冷たい風が私を無数の穴を開けて突き抜けた。
滲んだ光景は異世界のようで。 乾いた口に言葉を。 充溢させて詰らせて。
私の足の間を転がり落ちていった。 枯葉が、がらがら落ちていく。
堕ちていく。堕ちていく。堕ちていく。
闇夜に白く光る月。
霞んで、滲んで、何も見えない。
ねぇ、月がきれいだよ。